信頼の構造: こころと社会の進化ゲームを読んで

信頼の構造-こころと社会の進化ゲーム-山岸-俊男

上記の本を読んでブロックチェーンについて理解が進んだと思うので書いておきます。

 

  • 結論

  • 背景

  • 終わりに

 

 

結論

本書のテーマとして筆者は

集団主義社会は安心を生み出すが信頼を破壊する」としています。

集団主義社会とは日本の「ムラ社会」をイメージしてもらえば良いと思います。

筆者はムラ社会は今まではうまく機能していたがこれからは機能しなくなると言っています。

 

時代が移り変わるなかでの方法として社会一般でお互いを信頼できるような社会が必要と筆者は考えており、

結論として

信頼を社会的知性として考えること.そしてそのような社会的知性を向上させるための投資を,個人のレベルでも社会全体のレベルでも,促進させるように奨励することが一般的信頼醸造のための,キーとなるだろう,というのが本書に紹介された研究から導き出される現時点での結論である.

としている。

 

この本を読んでの感想の結論としては、

著者が求めていた社会における一般的信頼の醸成として、パブリックブロックチェーンが現時点において最も適切かつ現実的な方法ではないかということ。

 

ブロックチェーンはトラストレスな仕組みでトラストをつくり、

「コスト」を削減することができます。

 

これは筆者が求めていた「一般的信頼」をつくりあげることであり、

そして本書の論理を理解することは同じ目的を持つ、ブロックチェーンの仕組みを理解することにつながると思います。

 

本の中身である信頼の解き放ち理論、進化ゲームアプローチなどについてはまた別の記事で説明をします。

今回はなぜ一般的信頼が必要なのかを考えていきます。

 

背景

 

今まで日本は高度なムラ社会により、

経済しかり文化を発展させてきました。

 

例えば会社で急に何か必要になった時に多少割高でも業者に電話1本で注文をして必要なものを調達していました。

馴染みの業者に頼むことで確実かつ早急にものを手に入れていたのです。

 

このようにムラ内部の中で用事を済ませることでコミュニケーションコストを下げていました。

この例でいうとを次の日にものを確実に届けてくれる業者を探すとしたら、ツテをたどってたどって一件一件電話をかけなければいけなかったのではないかと思います。

 

しかしインターネットの発展によるグローバル化でムラの外に出るコミュニケーションコストは大幅に削減され、機会コストつまり機会損失があまりに大きくなってしまいました。

例えば、必要なものもアマゾンで探して注文すればすぐに持ってきてくれます。

 

取引コスト(コミュニケーションコスト)>機会コストの時代から

取引コスト(コミュニケーションコスト)<機会コストになりました。

 

つまり日本の強みである、

ムラの中で取引を行うことで出します機会コストを犠牲にしたとしてもコミュニケーションコストを下げてムラを発展させていく

システムが機能しないということになってしまいます。

 

またビジネス以外でも

例えば夫婦関係についても経済的な取引関係と同じように同じ相手とのあいだに安定した夫婦関係を続けていくことに伴う機会コストが増大し続けている.

もちろん安定した夫婦関係をすることで得られる取引コストの節約が現在でも大きな意味を持っているが,それに伴う機会コストもっといい相手との再婚できる可能性が一人で暮らした場合になれる自由の喪失等々が急速に増大しつつある.

 

それでは上記のような問題が起きている時代が来ている日本はどのようにすればいいのか。

 

筆者は

機会コストをうまく引き下げることつまり自分にとっては有利な機会を逃さないようにすることが重要な意味を持ってくるだろう

としています。

 

つまり機会コストを引き下げて社会全体の効率化を図るように促しています。

 

人々が集団の枠を超えた他社一般に対する信頼を持つようになる必要がある.

この意味で今後の一般社会がこれまでの閉鎖型ないし集団主義型の安心社会から開かれた機械重視型の社会への転換に成功するかどうかの鍵を握っているのは 人々の間に特定の集団関係の枠を超えた一般的信頼が醸成されるかどうかである.

 

そして、それぞれのムラ社会にとらわれない横断的な社会を作り上げるためにそれぞれのコミュニティをつなぐ「一般的な信頼」が必要としています。

 

終わり

 

ヴィタリクは以下のツイートでブロックチェーンは「社会コスト」を削減していくものだとしています。

10. Blockchains are NOT about cutting computational costs (at least relative to centralized servers). Blockchains are about incurring a sacrifice in the form of INCREASED computational costs to achieve a *decrease* in *social costs*.

https://twitter.com/VitalikButerin/status/1072162427045736449?s=09

(うまくブログに埋め込められませんでした。見苦しくてすみません。)

 

ブロックチェーンの効用として、

コンピュータコストを費やすことで社会の不正防止などにかかるコストを削減できます。

 

つまり本書でのテーマであった「信頼」をつくりだすということなのだと思います。

そしてブロックチェーンによってつくりだされた「信頼」がさらに新たな時代をつくるインフラになってくるのだと思います。

 

今年も一緒にブロックチェーンを楽しんでいきましょう。

最後までありがとうございました。

(次の記事で本の中身を見ていきます。)