分散型VPNネットワーク「Mysterium」の概要

 

この記事ではEthereumを使用した分散VPNネットワーク「Mysterium」の概要と問題点について共有します。

 

VPN(Virtual Private Network)は現在主に企業内のプライベートネットワーク構築のために使用されています。昨今個人情報の保護の観点からまたセキュリティーの観点からVPNを採用する企業や個人が増えています。

VPNの契約者数の推移を見ると契約者数の増加が見ることができます。

 

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IP-VPNサービス・広域イーサネットサービス契約数の推移

出典:総務省情報通信白書平成29年度

 

しかし現在使われているVPNはほとんど企業が提供しているVPN提供サービスを使用しています。

将来的にブロックチェーンの広まりが期待されるなかで、

企業側が提供するVPNサービスでは「中央集権」的なサービスになってしまいます。

分散的な思想が広まる中で本当の意味でネットワークの検閲耐性を高める必要があると考えられるため「Mysterium 」は必要になるでしょう。

 

今後分散的なVPNが必須になっていく状況でトークンを使った分散VPNネットワークを目指す「Mysterium 」について共有していきます。

 

目次 
  • なぜMysteriumは必要なのか
  • 概要
  • ロードマップの進捗率
  • 問題点

 

なぜMysteriumは必要なのか

はじめにも記載いたしましたが、

ブロックチェーンが浸透していき分散型社会分散型ネットワークが社会基盤として整備されていく中でVPN は必要になっていくでしょう。

しかし現状多くのVPN は企業が提供する VPN サービスになってしまっています。

このVPNサービスはあくまでも企業が提供しているVPNなので例えば政府や特定の機関が検閲可能です。

検閲可能と言う事はVPN ユーザーのトラフィックは丸見えであり、これではいくら VPNによって暗号化通信をしたとしても情報が検閲されてしまっては意味がないものになってしまいます。

具体的にホワイトペーパーで具体例に挙げられている分散型VPNネットワークの必要性を見ていきます。

 

1. 旅行者が訪れた場所でその地域の行政による EメールやSNSの検閲とブロッキングを防ぐ

2. 私生活や政治的思想、表現や思想の制限を防ぐ

3 ビジネスにおいて秘密保持や会社の企業情報を守るために必要

4. ジャーナリストが政府や国から取材源の秘匿をインターネット上でするために必要

5 政府から、活動家などが組織的な会議など組織作りに必要な計画をの妨害を防ぐ

6.地域権力が知られたくない市民やジャーナリストが世界中で起きる事件のレポート、人権や暴力に対するレポートなどを世界中に流すために必要

 

上記のように地域の権力者政府がVPNネットワークを提供している事業者に圧力をかけてトラフィックを監視することを防ぐことができるようになります。

また企業が提供しているVPNと言う事は急に VPNを提供している企業が倒産をしてしまうことも考えられます。

つまりVPNネットワークの提供者のいなくなり暗号化された通信が提供されなくなってしまうことが考えられます。また暗号化された通信の持続可能性がなくなってしまうとも言えます。

 

分散型ネットワークを作り上げることによって持続可能性を保ちつつストレスでVPNを使用することができるようになることを目指しています。


概要

 

ネットワークの流れとしてはまずVPN サービスの提供者である個人がMysteriumネットワークに登録をします。この登録によりIDを得ることができます。

同じくコンシューマーであるVPN利用者もMysteriumネットワーク上に自分のIDを登録します。

 

多くのサービス提供者と利用者が利用したい時間や料金をMysteriumを使用してMysteriumネットワーク上でサービス提供者と利用者をマッチングさせます。この時を約束手形のようなものを発行します。最終的に使用が完了した後に上記で発行した約束手形清算VPN ネットワークが閉じられ支払いがEthereumに刻まれます。

 

Mysteriumの肝としては

 

•ID管理
•マッチングシステム
•支払い方法

 

この三点が特に重要になるのでここを見ていきます。

 

ID管理

まず初めにMysteriumネットワーク上にEthereumを使ってスマートコントラクトによりIDを登録をします。その後登録した情報をノードに公開しデータベースとして管理、公開をします。

このIDが非常に重要です。

 

IDを登録するときには規定の量のMYSTというトークンを付与し登録しなければなりません。

このIDを登録するときに付与をしたトークンも今後不正をしないインセンティブとなります。

なぜならIDに紐付いているMYSTは支払いの不履行や偽の約束手形を作成すると失ってしまうからです。

このIDはすべてのユーザーが確認ができるものになります。つまりこれから契約を結ぶ相手側が支払いをしなかったといった履歴や、VPNを使う上での残高がないといったことも確認ができます。確認ができると言う事は相手の履歴を確認することになって信用がおけないアカウントとはやりとりをしないインセンティブになります。

 

 IDを使用することによりトークンを使った経済的にインセンティブだけでネットワークの持続可能性を維持するのではなく、信用スコアを使った社会的インセンティブも使用することによりネットワークの持続可能性を維持しています。

 

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ID管理のイメージ図

 

 

マッチングシステム

次にサービス提供者とサービスの利用者が互いに希望の金額何度の条件を合わせる段階になります。

まずはサービス提供者が提供するVPNサービスや料金等を秘密鍵を使って署名しスマートコントラクトを使用しMysteriumに登録をします。

その後Ethereum上を通り改ざん不能になった約束手形をネットワークに放出後します。

サービス利用はネットワーク上で使用したいVPNプロバイダーを探しマッチングをしていきます。

 

 

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マッチングのイメージ図

 

支払い方法

利用者は約束手形を発行するような仕組みを取ります。

約束手形にはサービスの利用者つまりMYSTを支払う側の署名と支払う金額などが記載されます。

署名と支払う金額をスマートコントラクトでブロックチェーンに記録します。

この時約束手形の発行者は自分の口座アカウントに支払いに必要なだけのエムワイエスティーがなくても約束手形を発行しVPNを使用する事は可能です。

しかし相手側のVPNサービス提供者は支払いが不履行になる可能性があるサービス利用者つまり口座アカウントに必要なだけの額が入っていないアカウントには提供しないことで事前に債務の不履行をふせいでいます。

 

使用が完了し支払いを清算したい場合は以下のフローのチェック項目を経て清算が完了します。

 

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もし悪意があるサービス利用者が支払いをしなかった場合は現在発行されているブロックチェーン上に登録されている約束手形がある限り他のサービス提供社から VPNサービスを受ける事はできないことになっています。

つまりお金を払わない限りMysteriumネットワーク上では生きていく事はできないと言うことになります。

 


ロードマップの進捗率

現在はテストネットが始まったばかりです。

ホワイトペーパーとしてはフェーズ1のステージ1ステージ2ステージ3を経て最終的な成果である。

フェーズ2に移行するという流れになっています。

そして今はフェーズ1のステージ1を行なっています。

つまりまだまだテストネットを行っている状態です。

 


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上記の図で言うとまだ一番のテストネットとアプリケーションが初めてのアプリケーションが出たばかりのところです。

 


問題点

 

問題点としてはマネーロンダリングの使用とダンピングが考えられます

 

マネーロンダリングの使用

例えば現在企業が提供しているVPN であればマネーロンダリングに使用されたということがわかった場合、事業者からすぐにVPN 使用者の情報が素早く得ることができ逮捕につなげることができます。

しかし 分散型VPNであれば VPN 使用者は特に個人情報の登録をしてはいないのでマネーロンダリングに使用された場合だとしてもその後の流れ追うのは現行のVPN に比べ遅いものになってしまいます。

またMysteriumのサービス提供者がマネーロンダリングに加担し犯罪幇助として罪に問われる可能性もあります。

 

ダンピングの発生

もう一つの問題として不当廉売、ダンピングが起こる可能性があります。

 

例えばMysteriumと言う素晴らしいネットワークを独占して大儲けをしたい人がいたとします。

Mysterium はネットワークに登録したサービスの提供者とユーザーのマッチングによってVPNネットワークが提供を提供します。

独占を狙う人はまず超低価格でサービスを提供します。超価格でサービスを提供することによって独占を狙う人のアカウントは人気になります。独占を狙う人はさらにたくさんのアカウントを作り調停価格でサービスを提供していきほぼ全てのたくさんの人からMYSTを集めていきます。

そしてMYSTが集まり切ったところで独占者はMYSTを、サービス提供の値段を吊り上げてVPNサービスを提供します。

Mysteriumをどうしても使いたいユーザーとしては価格をかなり釣り上げられましたが受け入れて使用するしかありません。

現在このようなことは独占禁止法で禁止されていますが将来的に VPN 分散型ブロックチェーンなどを使った時には現在の独占禁止法は適用されないでしょうし適用されるべきではないと思います。

 

ダンピングを防ぐための仕組みや考えが必要であると思います。